マンション総合保険の個人賠償特約に設定する免責はあり?なし?

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マンション総合保険の個人賠償特約に免責は設定しないほうが絶対に良い!

多くのマンション保険の保険証券を拝見すると個人賠償の部分に”免責”の設定がされているケースをよく見かけます。

 

ですが、結論から言うと、マンション総合保険の個人賠償に免責は設定しないほうが良いと思います。

 

 

 

 

マンション保険の個人賠償に免責を設定すると使えない保険のできあがり!

免責とは、『普通なら負うべき責任を問わずに許すこと。』と書いてあります。つまり、設定されている免責金額分は損害額から差し引いて支払いますということです。

 

保険会社からすれば免責を設定することで支払額は減るので保険料はそのぶん安くなります。ですが、免責を設定することで逆にマンション内でトラブルになる可能性は断然高くなります。

 

 

個人賠償の免責設定について事故例から学ぼう

マンション保険の個人賠償に免責を設定することでトラブルになる可能性は非常に高くなります。

 

何故トラブルになるのか??ということを事故例から考えてみましょう。

 

 

加害者がはっきりしている事故の場合

事故例@

5階にお住まいのAさんが洗面所を詰まらせて階下(4階)にお住まいのBさん宅の天井や壁、床が水浸しになってしまった。この時に修復するための費用が合計で30万円かかってしまった。

 

上記の例でいくと、損害額は30万円となり、個人賠償に免責5万円設定されていると、保険会社から支払われる金額は個人賠償の免責5万円を差し引いた25万円となります。

 

では、免責設定されている5万円は誰が払うのでしょうか?

 

それは、加害者になるAさんとなります。

 

こういった場合、加害者になるのがAさんということは火を見るより明らかなので自分がしてしまったことに対して弁償するという気持ちは当然出てくると思います。

 

このような事故だと加害者であるAさんが自己負担することもやむを得ないと感じトラブルには発展しないかもしれませんね。

 

ですが、下記のような事故例だとどうでしょうか?

 

加害者がはっきりとしない事故の場合

事故例A

4階にお住まいのCさん宅の天井から水漏れが発生。原因を調べたところ天井裏の給水管から水漏れが起きていることが判明し、この給水管の所有者について調べたところ管理規約上では個人の所有物となっており結果的に5階に住んでいるDさんが所有者ということが判明。この漏水事故による損害は30万円。個人賠償には免責5万円が設定。

 

上記の事故例をご覧になっていかがでしょうか?

 

マンション保険で個人賠償はついているものの、免責5万が設定されている場合は5万円の支払いはDさんがしなくてはいけないということになります。

 

そして、この話を聞いたDさんが5万円の支払いに素直に応じるのか??ということです。

 

通常、各住民さんの所有物というのは管理規約に記載されており、給水管などについても共用部と専有部にわかれています。

 

専有部の管が個人の所有になるのですが、個人の所有ということは住民さんの所有物となります。つまり、事故例AのケースでいくとDさんの所有物になるわけです。

 

ということは、ルール上はDさんの所有物となりDさんに弁償する義務があるということになります。

 

ただ、先に述べた事故例@のように明らかに自分自身に落ち度があるケースであれば支払いに応じると思いますが、事故例Aのようなケースであれば素直に納得できないものです。

 

これがトラブルになる理由です。

 

 

目先の理由だけで個人賠償に免責設定はしてはいけない!

冒頭お伝えしたように、マンション保険の個人賠償に免責を設定する最大の理由は保険料を下げるためです。ですが、免責設定したとしても保険料は大幅には下がりません。

 

事故例Aのようなケースでは、マンションによってはトラブルを避けるために管理組合がこの5万円を負担した・・・という話も聞いたことがあります。
※管理組合が負担する場合は管理規約にその旨を追記する必要があります。

 

仮に免責設定して5年間の保険料が5万円安くなったとしましょう。

 

ですが、事故例Aのように当事者が素直に応じずトラブルになりそうな場合に管理組合が免責分の5万円を負担したりするようなことになれば安くなった保険料5万円は一度の事故でプラスマイナス0となります。

 

そして、同じような事故が2度以上起きると安くなった保険料5万円よりも管理組合から出て行くお金のほうが高くなり、結局マイナスのほうが多くなります。

 

また、今回の事故例以外で見ても、実際に起こる事故の損害額が10万未満というケースも多いもの。

 

仮に損害額が6万円の事故の場合に免責5万円がついていると保険会社からはわずか1万円の支払いしかされず、結局は住民さんや管理組合が負担しなければいけなくなり、保険というものはまったく機能しなくなります。

 

このように考えると、保険料を安くするという目先の理由だけで個人賠償に免責設定することがどれほどトラブルのもとになるのかがお分かりいただけると思います。

 

 

事故が起きることを前提に考えなければいけないということ!

これからの時代、何でも保険で対応という考えは絶対に持つべきではありません。管理組合としてもなるべく事故を起こさないようにするための努力は必要不可欠です。

 

ですが、管理組合として高い意識を持っていてもやはり事故は起こるもので、そういった時にお役に立てるのが保険なんです。

 

事故が起こることが前提であれば、やはり補償を第一として考えるべきではないでしょうか?

 

決して目先のことだけを考えるのではなく、もっと大切な部分に目を向けるようにしてください。

 

また、免責設定を安易な理由で提案する保険代理店も非常に多いですが、目先のことだけしか考えていないような保険代理店は決して貴マンションのことを真剣に考えているとは言えないため、お付き合いされること自体を考え直しましょう。

 

最後に大切なことを聞きます。

 

マンション保険は一体、誰のため? 何のために加入するものですか?

 

 


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